コーヒーカップのコーヒーによる着色汚れを落としたいと思い、調査していたところ、インターネット上の情報には汚れや落とし方についての誤った情報があることに気づきました。
今回はその情報を共有しようと思います。
コーヒー着色汚れはステインが原因?
「ステイン=着色汚れ」です。原因のことではありません。
ステインとは着色汚れのことを指し、それが発生する原因を示すものではありません。「ステイン=着色汚れ」と理解すると良いでしょう。
一般的に、ステインという言葉は特に歯の着色汚れを指すことが多いです。歯磨き粉の商品名や広告フレーズで「ステイン」を見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。
ステイン【stain】
「ステイン」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書
《汚れ・しみの意》
2 歯の黄ばみ・くすみなどの着色よごれ。コーヒー、茶、タバコのやになどによる。
補足. 本当の原因は「ポリフェノール」
コーヒーの着色汚れの原因はポリフェノールです。ワインや緑茶などにも含まれるこの成分は、健康に良いと言われています。
時間が経つと、コーヒーのポリフェノールが定着し着色汚れを引き起こします。コーヒーに含まれる主なポリフェノール成分は「クロロゲン酸」で、これがコーヒーの渋味の主要な原因となります。
重曹で着色汚れを中和して洗浄?
着色汚れは落とせますが、重曹が中和させるからではありません。
重曹は着色汚れを落とすことが可能ですが、これは重曹が研磨剤として作用するからです。
重曹が弱アルカリ性であるため、酸性の汚れ(例えば茶渋)と反応して汚れを落とすと思いがちですが、反応するほどの強さは持っていないため、着色汚れへの効果は限定的です。
重曹は水に溶けにくく、研磨剤として機能します。そのため、茶渋などの着色汚れを研磨により取り除くことができます。
下記の参考サイトでは、より詳しい情報が提供されています。ここでは化学者の視点からの正確な情報が掲載されています。
重曹を使用する際の注意点
重曹は研磨剤として働き、着色汚れを落としますが、それにより傷がつく可能性があります。そのため、傷がつくと問題となる対象への使用は適していません。
例えば、水筒の内部に傷がつくと雑菌の増殖を引き起こす可能性があります。したがって、このような製品に対して重曹を使用して着色汚れを落とすのは適していません。
重曹を使用できない場合は、セスキ炭酸ソーダや酸素系漂白剤を試すと良いでしょう。
クエン酸で着色汚れが落とせる?
クエン酸では着色汚れは落とせません。
クエン酸はpH2の酸性特性を持っています。(*参考1)
これに対し、コーヒーはpH5前後の弱酸性特性を持っています。(*参考2)
したがって、酸性と酸性を組み合わせても、化学反応によって汚れが落ちるとは期待できません。
お湯とクエン酸で落とせたという記事を見かけますが、これはお湯で浸したことによる効果かもしれません。
以上の情報から、クエン酸が着色汚れを落とすのに適していないと考えられます。
しかし、クエン酸が全く掃除に適していないわけではありません。水垢を落とすなどの掃除には非常に有効です。汚れの性質に合わせた道具や方法を選んで掃除を行いましょう。
*参考1: クエン酸のpH値
*参考2: コーヒーのpH値
重曹とクエン酸を組み合わせて着色汚れが落とせる?
落とせません。少なくとも着色汚れが中和されることはありません。
重曹にクエン酸や酢を混ぜると二酸化炭素が発生して派手に泡が立ちますが、汚れが浮いてくるだけでこびりついた汚れをはぎ取っているわけではありません。
01:重曹とクエン酸を混ぜるのは止めなさい!! ~時間と資源のムダ遣い | ナチュクリじじいが斬る 間違いだらけのナチュラルクリーニング (live-science.co.jp)
泡が発生すると、一見、汚れが落ちそうな印象を受けますが、必ずしもそうではありません。
インスタグラムなどでよく見る酸素系漂白剤(オキシクリーンなど)を水に入れると泡が発生する現象と、重曹とクエン酸が反応して泡が発生する現象を混同しているかもしれません。その気持ちは理解できます。
前述の通り、重曹は水に溶けにくく、残った重曹で研磨することで着色汚れが落とせる可能性はあります。しかし、クエン酸を加える意味はほとんどないと言えます。
終わりに
今回、本来はコーヒーの着色汚れを落とす方法についての記事を作成しようと思い、器具やカップの着色汚れについても調査しました。
情報をまとめていく中で、さまざまな記事や有名メディアサイトに相反する情報が掲載されていることに気づきました。一部の参考記事では、雑誌を含む一部メディアにも誤った情報が載っていると指摘されていました。
インターネット上には、多くの人々が自分たちで調査し、自分たちで試した情報を記事にまとめて公開しています。しかし、これらの情報の真偽は必ずしも確認できるものではありません。
着色汚れに限らず、インターネットの記事には不確かな情報も含まれており、私たちはそれを選別しなければなりません。これを改めて認識しました。
この経験から、私も確かな情報の提供に努めなければならないと感じました。一層の気持ちの引き締めて記事を作成していきますので、今後ともよろしくお願いします。